企業様の声
ナチュラリズムファーム様
ジュリアーノケールなどでとてもお世話になっております
ナチュラリズムファーム 大皿 一寿氏
兵庫県神戸市の農業生産法人ナチュラリズムファーム、代表の大皿一寿氏に将来の夢や今後の展望、小林種苗との取り組みについてお聞きしました。
ナチュラリズムファームについて
兵庫県神戸市西区で有機農業に取り組み、安心安全の野菜を生産されている。
栽培品目はカーリーケールとベビーリーフを中心に、ジャガイモ、サツマイモ、タマネギ、米等。
ファーマーズマーケット、レストラン、農協を中心に出荷し、好評を得ている。
ナチュラリズムファームについて
ナチュラリズムファームについてお聞かせください。
ナチュラリズムファームは神戸市西区で有機農法での野菜作りをしています。
食べる人と地球の事を考え、農薬、化学肥料、家畜糞を使用しない農業を選びました。
私たちの田んぼや畑は、ミミズやカエル、鳥達などいろんな生き物であふれ、自然との調和がとれた場所です。
刈草、稲藁などで行う土作り。きれいな井戸水。そしてぽかぽか太陽が育んだ、元気な野菜とお米をお届けします。
もちろん安全の証である有機JASの認定も取得しています。
オーガニックが当たり前に食卓に並ぶ未来を実現したい
将来の夢はなんでしょうか?
私たちナチュラリズムファームは理念としてオーガニックをテーマに活動しています。
その中で有機農業を広めていきたいという想いがあり、6次産業化や研修生の受け入れを積極的に行っています。
今後は誰もがオーガニックを体験でき地球のことや健康を考えるきっかけになるオーガニックパークのような場所を作りたいと考えています。
未来のナチュラリズムの姿は?
今取り組んでいるローカルビールプロジェクトをもっと発展させ、耕作放棄地をビール麦で解消する事例を作り地域のリーダー的な存在になりたいと考えています。
今後の展望をお聞かせください。
まずはオーガニックを知ってもらえる(体験できる、食として楽しめる)場所を作ります。
その場所を起点にオーガニックビールをはじめ色々なオーガニック商品を開発し、オーガニックが当たり前に食卓に並ぶ未来を実現したいです。
また有機農業に関わる人を応援できるような場所になり、野菜作りが学べる、新規就農を目指すなど未来の農業に貢献できるように活動していきます。
有機農業の発展のために
小林種苗との取り組みについてお聞かせください。
ジュリアーノケールなどでとてもお世話になっております。ケールは栄養価も高く最近は注目されています。
ナチュラリズムファームはこのケールを野菜チップスにし現在販売しています。
今後スムージーにしたりペーストにしたりとさらなる商品化を考えております。
小林種苗に期待する事はなんでしょうか?
私たちはやはりオーガニックをテーマに農業をしていますので、有機農業の発展のために協力いただければ嬉しいと考えます。
例えば、オーガニック種子の充実や無農薬での育苗サービスの提供などがあれば活用したいと考えています。
Farmer's Yard様
小林種苗さんとは、世界があっと驚くような何かがしたいです
Farmer's Yard(ファーマーズヤード) 鈴木 広史氏
兵庫県神戸市で有機栽培に取り組むファーマーズヤード、代表の鈴木広史氏にお話を伺いました。
ファーマーズヤードについて
兵庫県神戸市北区大沢町で土作りにこだわった有機栽培に取り組み、安心安全な野菜を生産。
また独自の栽培方法でミニサイズに仕立て、美しく盛り付けた野菜ブーケやアレンジメントは、誕生日や開店祝いなどの贈り物として好評を得ている。
食材としてはもちろん、見て楽しむアートとして、野菜の新しい価値を創造している。
「農家の裏庭」で農薬を使わず有機肥料で栽培
ファーマーズヤードについてお聞かせください。
ファーマーズヤードとは「農家の裏庭」という意味です。
農家は、自分たちが食べる野菜は少しぐらい形が悪くてもかまわない、と化学肥料や農薬を使わずに育てます。
本当に安心できる野菜は、そんな「農家の裏庭」にあるのかもしれません。
私たちはお客様に美味しく、安心できる野菜をお届けしたいとの思いから土作りにこだわり農薬を使わず有機肥料で栽培しています。
また、季節ごとに様々な野菜をお届けするために年間約400品種を栽培しております。
世界各地の個性的な野菜を独自の栽培方法でミニサイズに仕立てています。
ファーマーズヤードの野菜アレンジメントは季節ごとに旬の体にいい野菜を数多く収穫できるからこそ可能となります。
見て楽しむだけでなく、食べることもできるのが野菜アレンジメントの魅力。
アレンジメントと一緒に野菜の機能性や食べ方レシピ等もお伝えしています。
それぞれの野菜の効力を知って頂くことで、野菜の楽しみ方、生活への取り入れ方がぐんと深く広がります。
野菜の価値を創造しアートの分野でも表現
将来の夢はなんでしょうか?
「世界を旅する農家」
世界を旅しながら、その国の文化に触れ、土地の植物から新たな価値や可能性を発見したいと考えています。
未来のファーマーズヤードの姿は?
「珍しい種を見つけて、ひたすら種まき」
過去も現在も未来も同じく、種まきをし続けています。
今後の展望をお聞かせください。
「創作意欲の湧く野菜を育てる」「アートの世界で入賞」
シェフが楽しくなるような新しい素材を提供する。
野菜の価値を創造しアートの分野でも表現していくことです。
世界があっと驚くような何かがしたい
小林種苗との取り組みについてお聞かせください。
小林種苗さんとは、世界があっと驚くような何かがしたいです。
日本を含め世界のトレンドを教えてほしいです。
有限会社文化農場様
小林種苗さんの事業展開に今後も期待し、共に地域に貢献できる企業として歩めたらと思っております
有限会社文化農場 小野 康裕氏
兵庫県神崎郡の育苗メーカー文化農場、代表の小野康裕氏に今後の展望と小林種苗との取り組みについてお聞きしました。
文化農場について
文化農場のことをお聞かせください。
昭和30年代より育苗業を始め、平成15年に(有)文化農場として法人化いたしました。
主に家庭菜園向け野菜苗・ハーブ苗などの栽培・販売を行う育苗農家です。
なぜ「文化農場」という名前なのかというと、私たちは、家庭菜園は親から子への知恵や工夫・喜びを伝える「文化の伝承」だと捉えています。
そのため、文化農場は、より良い「文化の伝承」のお手伝いをしているのだという想いで、野菜苗づくりに取り組んでおります。
若い世代へアップデートした家庭菜園を
文化農場や育苗業界の抱える課題はなんでしょうか?
育苗業界も人手不足に悩まされながらも、幸い幅広い人材が弊社で働き、日々苗づくりに取り組んでいます。
しかし家庭菜園の消費動向も世代交代が進み少量多品種へと移行するなど市場は縮小しています。
今後は、弊社として、若い世代へアップデートした家庭菜園を提供する必要があると考えています。
文化農場の今後の展望をお聞かせください。
今後は、1.野菜苗の卸売事業 2.農業従事者向け事業 3.家庭菜園プロデュース事業の3本柱を軸として
家庭菜園を通じて得られる多くの「学び」を、苗だけではなくトータルで提供できる企業として歩んでまいります。
現在私の後継者である娘がその実現に向けて邁進中です。
共に地域に貢献できる企業として
小林種苗との取り組みについてお聞かせください。
小林種苗さんとは、2008年に知人を通じ本格的にお取引が始まりました。
以前から地域内経済循環も見据えて小林種苗さんともいずれはと思っておりましたので、違和感なく新規お取引を始めたのですが、私どもの細かい要望にサクサクと対応いただき、新品種についても提案、対応をいただけた事に驚くと共に、熱心に取り組んでおられると感じ、気が付けばお取引幅が広がっておりました。
また、日本野菜育苗協会の農場見学等にも快く応じていただけ、兵庫の種苗が全国に広がる事に誇りを感じています。
小林種苗に期待する事はなんでしょうか?
野菜にもファッション同様に色・形等の流行があり、加えて食味や加工のしやすさ等々求められるものは幅広く、そして何より時代に即応すること、栽培しやすい事などが大きく求められます。
これらの動きに即応できる国内外ネットワークと育種を軸とした小林種苗さんの事業展開に今後も期待し、共に地域に貢献できる企業として歩めたらと思っております。
みずほ協同農園様
いちばん仕事がきっちりしているので、小林種苗さんにすべて任せています
エコファーム・みずほ協同農園 代表取締役 高崎 時男氏
エコファーム・みずほ協同農園、代表取締役の高崎時男氏に、エコファームの現状や課題、小林種苗との取組みについてお聞きしました。
エコファーム・みずほ農園について
神戸市街から車で50分。澄んだ空気と、みずみずしい緑に囲まれた兵庫県三木市細川町瑞穂にある「環境共生型農園」エコファーム。食品リサイクル・資源循環型の農業を実施するために1998年に設立され、安全・安心な野菜の生産や、農業の体験学習や農業・食に関する学びを提供する場として高い社会的評価を得ています。
食品リサイクル、資源循環型の農業
エコファーム・みずほ協同農園のことをお聞かせください。
農園の広さは約20ヘクタールで、農園内には露地栽培農場、ビニールハウス、リサイクル堆肥を生産する土づくりセンター、交流・勉強会を行うエコファームセンター、体験農園などがあります。現在、わたしを含め社員、パート等の合計19名で農園を運営しています。また、兵庫新規就農研修「新規就農離陸加速モデル推進事業」より、一年間の研修として研修生2名を受け入れています。
エコファーム・みずほ協同農園は、コープこうべの「環境共生型農園構想」に賛同した地元農家によって1998年1月に設立されました。
環境共生型農園の仕組みは、コープこうべの店舗や食品工場から毎日出る有機資源(野菜・肉の加工くず)を回収して、農園内にあるコープこうべのリサイクル施設「土づくりセンター」に運びます。土づくりセンターで、有機資源をもとに堆肥を生産、その堆肥を使用して健やかな土壌を育て、農園で野菜を生産します。そして、生産した野菜をコープこうべの店舗に供給する――そういう食品リサイクル、資源循環型の農業を行っています。
エコファーム設立の背景を教えてください。
エコファーム設立の背景には、大きく二つの理由があります。ひとつは廃棄物の発生量削減と有効利用をすすめることです。当時、コープこうべの事業所・店舗から出る食品関係の廃棄物は増加傾向にあり、焼却処理によるCO2排出などの環境負荷や、ゴミ処理にかかる経費の増大が問題となっていました。それらの対策が急務だったこと。
もうひとつは安全な食を支えるしくみが必要になったことです。国内の食糧自給率の低下、農業就業人口の低下と高齢化、それにともなう耕地面積の減少など、日本の食を支える地盤の沈下はとても激しい。安全な食を支えるために新しいしくみが必要だったことです。
エコファームが目指すもの
エコファームはなにを目指しているのでしょうか?
第一に、安心できる「野菜」を生産することです。農園内の農地には、露地栽培農場、ハウス栽培農場があり、大根、ブロッコリー、キャベツ、青ネギ、トマト、ホウレンソウなどの野菜を生産しています。化学肥料を使わず、農薬の使用回数も地域の1/2以下におさえるなど、安全・安心な野菜をつくりコープこうべに提供しています。
つぎに、未来にわたりずっと続けられる農業を実践し、それを広げることです。そのためには次代を担う農業人の育成が欠かせません。そして若い農家に活躍してもらう場所を提供することが必要です。エコファームでは平成14年から兵庫県立農業大学校の卒業生などの新規採用を行っています。また、同学校からの研修生の受け入れや、新規就農希望者に実践的な農作業のノウハウを教える「エコファーム研修生」の制度を設けています。また農園視察なども積極的に受け入れ、環境保全への取り組みや、食品リサイクルの実践について農業関係者や行政に広める活動をしています。
最後に、持続できる農業のあり方を、消費者と一緒に考え、一緒につくっていくこと。消費者に1区画10坪の農地を年間契約でお貸しして農作業を体験してもらう「体験農園」、季節の野菜の植え付けと収穫を体験できる「マイファーム」など、消費者に農業を体験してもらい、土と触れ合いながら学ぶ場の提供。勉強会や講義、体験学習を通して、日本の農業の問題や、農業の「食の安全・安心」とのつながりについて学んでもらう場を提供しています。
エコファームの課題
現在の課題はなんでしょうか?
ひとつは経営の安定化です。その年の環境による影響もありますが、野菜の生産量と売上はまだ安定しているとは言えません。資源循環のしくみ維持のコストも上がっています。事業所・店舗から出る食品残さの減少にともない堆肥の生産量が下がっているからです。わたしが就任した2007年からはなんとか単年度で黒字となっていますが、経営を安定させるにはもう少し時間がかかります。きれいごとばかり言っていてもだめで、きちんと利益を出して、経営が安定してはじめて理想の追求が行えるのです。
もうひとつは人手の問題。人出不足のため、農園内の農地のすべてを有効活用できていません。とくに露地栽培農場の一部では、使用していなかったり、ローテーションで休ませている農地があります。なんとか有効活用するための施策を講じているところです。
小林種苗との取組みについて ―ハウスのカルテ―
小林種苗との取組みについてお聞かせください。
小林種苗さんとの取組みは2009年からです。お願いしているのは、現在農園にある32棟のビニールハウスのメンテナンスです。ビニールハウスは数年ごとに、ビニールを貼り替えないといけないのですが、今がちょうど貼り替えのタイミングです。ふつうの農家だと自分たちでビニールの貼り替えを行いますが、当農園ではやはり専門家に貼ってもらうほうがしっかりしていいいだろうと外部にお願いしています。
小林種苗さんは熱心に仕事をしてくれますのでひじょうに助かっています。農園のハウスの建設・修繕した履歴や打ち合わせのやり取りが知りたいとお願いしたら、すべてのハウスの管理表を作ってくれて。これがまるで「ハウスのカルテ」みたいにしっかりとしたもので、とても丁寧に仕事をしてくれる会社だと驚きました。
現在32棟のうち、20棟あまりのハウスでビニールを貼り替えています。1社に集中するのはあまり良くないとも思い、相見積をとりながら検討していますが、いちばん仕事がきっちりしているのが小林種苗さんですからすべて任せています。
次代の農家をしっかりと支えていく
小林種苗に期待することはなんでしょうか?
要望としては、エコファームに合う作物の品種を提案してほしいということです。たとえば、気候風土や土壌をしっかりと見てもらい、土壌に適した品種とか、土壌特有の病気に強い品種などどんどん提案してほしい。
また、種苗会社としてのネットワークを生かして、農家の悩みを解決する役目を担ってほしいと考えています。農家には特有の悩みがいっぱいあります。農法でも悩んでいるし、流通のことでも困っている。苗や種、資材の販売をするだけではなく、研修の情報を提供したり、一緒にほかの農家を視察するなど、小林種苗さんなら農家のアドバイザーとしてかゆいところに手が届くサポートができるのではないかと期待しています。
今後の展望についてお聞かせください。
エコファームを通じて、もっと食育、農業体験学習や環境・食糧に関する学習の場を提供していきたいと思っています。農業に関わる人が安心して集まる場所として、ここを利用してくれれば嬉しい。
そして、農業を志す人を支え、後継者として次代を担う若い農家をしっかりと育成していきたいと考えています。ここで学んだ後は、ここの農地、施設を利用して農業をしてもいい。とにかく新しいことにチャレンジしてもらいたい。現在は1名が、この農園で経営をしています。そういう若い人をしっかりと支えていきたい。そして、これらの活動を通じて、国内、地元の農業振興にしっかりと貢献していきたいと考えています。
兵神機械工業様
種の手配をお願いするうちに「この人は小さな種ひとつのことでも、真面目にきっちりと対応されるな」と
兵神機械工業株式会社 農工事業部長 井澤 達文氏
船舶機器メーカー兵神機械工業、農業事業部長の井澤達文氏に、挑戦されている農業分野のこと、小林種苗との取り組みについてお聞きしました。
兵神機械工業・兵神ファームについて
「人間力を高め、信用第一で社会貢献する」を経営理念とし、創業以来船舶機器の製造・開発に従事している兵神機械工業。2008年より兵神ファームを開墾し、熱い想いを胸に農業の分野に乗り出しました。
船舶機器メーカーの農業への挑戦
農業への取り組みを始めた理由を教えてください。
創業80年あまり、わたしたち兵神機械工業は船舶機器メーカーとして、おもに船舶用ポンプの製造・開発を行ってきました。農業への取り組みを始めたのは当社社長である友藤の「農業をやりたい」というひとことからです。地元の播磨平野では若い世代の農業離れが大きな要因となり、年々耕作放棄地が増えています。播磨町では専業農家はゼロという状況です。友藤はその状況に危機感を抱き、若い世代に農業に目を向けてもらい、農業を活性化させることで地元に貢献したいと考えていました。
わたしが代々続く農家の出身ということで相談を持ちかけられたわけですが、農業を取り巻く情勢というのはひじょうに厳しい。それでも3年間にわたり、農業をやりたいと言い続けましたから、これはそうとうな想いだと。だめでもとにかく全力で取り組んでみようと決意しました。
農業への取り組み。これまでの推移についてお聞かせください。
農業への取り組みを開始したのは2008年です。農家の方の好意で農地をお借りして開墾、「兵神ファーム」として実験を開始しました。実験の目標は「長時間労働を必要とせず、安定した収入を得られる農業を実現する」ということ。重労働、低収入の農業では意味がありません。
まずはキャベツやニンジンなどを作ることから始めましたがうまくいきませんでした。作業は大変にもかかわらず、収入にまったく結びつかないことを痛感。実験を繰り返し、検討を重ねた結果「水耕栽培」という結論に達しました。2010年のことです。
水耕栽培は天候に左右されませんし、軽作業ですみ、一人でも管理していくことが可能だというメリットがあります。さらに水、肥料の循環と制御には、当社が長年船舶機器製造で培った船舶ポンプの技術を生かすことができますから。すぐに水耕栽培に切り替えたわけです。
水耕栽培ハウス「オンディーネVH」を開発
水耕栽培ハウス「オンディーネVH」の特色についてお聞かせください。
「オンディーネVH」は水耕栽培装置とパイプハウスのセットになっています。水耕栽培というのは露地栽培にくらべて場所をとらず生産性が高いという利点がありますが「オンディーネVH」では、さらに面積効率を上げるため、栽培棚をスライド式にして通路のスペースを最小限に抑えることで、一般的なものの2倍の面積を確保することができました。
液体肥料は循環槽に自動供給され、濃度はつねに一定に保たれます。循環槽には殺菌装置が設置され連続自動殺菌を行うことができます。さらにパソコンや携帯電話からハウス内のカメラを通して作物の状況や室温チェックしたり、遠隔操作システムで機器を制御することも可能です。自動制御で安定した管理ができますので農業未経験者にも安心です。
さらにパイプハウスについては、国産のハウスではコストが高いため、海外で材料を調達、当社でパイプの折り曲げなどの加工を施すことで大幅なコストダウンを図りました。
農業未経験者にも安心とのことですが、導入した後のサポート面はどうなっていますか?
船舶の機器メーカーとして「船の安全と航海を守る」ことは使命です。船舶というものは、燃料を送るポンプが壊れてしまうとエンジンが止まり航海ができなくなってしまいます。通常、船舶には1基故障しても大丈夫なように2基のポンプが積んでありますが、もう1其が壊れないという保障はない。調子が悪いという段階ですぐに連絡が入り、世界中に派遣しているサービスマンがかけつけます。そのような徹底したサポートを行っています。
これまで培った精神でわたしたちにしかできないサポートがあると信じています。「オンディーネVH」も導入したら終わりではありません。機器のメンテナンスはもちろん、その他のご相談もお客様の状況をお聞きしながら、技術研究開発を行い安心してチャレンジすることができるように全力で支援いたします。
直売所の拡大、販売ルートの開拓を
導入すれば、すぐに安定した収入を得ることができるんでしょうか?
水耕栽培ハウス「オンディーネVH」を導入すればすぐに栽培が可能です。しかし、安定した収入となると、ことはそう簡単ではないのが実情です。ハウス1棟は1反の1/3の広さで建設することができますが、わたしたちの試算では、経費や人件費、それに減価償却をしても、じゅうぶんな売上と利益を確保することが可能です。しかし、この試算は飽くまでも付加価値の高いものを直売所で販売した場合の試算。市場に持ちこんで販売した場合は販売単価が低くなりますので、売上と利益が下がってしまいます。
農家が増え、出荷が増えてくることを考えれば、直売所の規模、直売所そのものの数が不足するおそれがあります。
そこでJA兵庫南さんをパートナーとして、直売所の拡大をお願いし、販売ルート開拓の協力を仰いでいます。農家が安心して農業に従事できることを目標とするわたしたちにとって、販売ルートを確保することは責務だと考えています。
小林種苗をパートナーに
小林種苗との取り組みについてお聞かせください。
前述したとおり、パイプハウスから水耕栽培装置まで当社で提供することができます。しかし、作物の種や苗はわたしたちで作ることができません。そこで作物の種をおもに小林種苗さんにお願いしているわけです。わたしたちが実験を始めたときは数社の種苗会社から種を購入していましたが、今は小林種苗がメインの取引先となっています。
小林種苗を選ばれた理由は?
ちょうど一年ほど前になるでしょうか。担当の末澤さんが当社に飛び込みで営業に来られたのがきっかけです。何度か種の手配をお願いするうちに「あ、この人は小さな種ひとつのことでも、真面目にきっちりと対応されるな」と。小さなことでもきちんと大事にする人だなと感じたのを覚えています。何かあれば電話一本で相談に乗ってくれますし、種だけではなく資材などひととおり何でも手配してくれますから。ひじょうに楽というのもあります(笑)。
その後、話をうかがってみると、もともと農業への関心が高く、農業も少しやられていたということでした。なかなかの人だなと感心しました。加古川農業青年クラブの方たちとも引き合わせていただき、さまざまな意見を聴くこともできました。とくに若い農家の意見はわたしたちにとってとても貴重なものです。
農業を若い世代に
小林種苗に期待することは?
さまざまな農業の人と関わることが多い会社ですので、ともに協力しながら農家が潤う仕組み作りをしていければと思います。販売先を紹介してもらい、農家の売上が増えていけばしぜん種や苗の需要も大きくなっていく。その種は小林種苗さんにお願いしていく。そういう循環になっていくわけです。わたしたちは種は作ることができませんからね。
今後の展望についてお聞かせください。
農業が重労働で低収入というイメージを払拭していきたいということ。今までは先祖代々の土地を守るために高齢になっても農業を続けざるを得ない状況がありました。農業をやめて10年農地を放棄してしまえば、その土地が国のものになってしまうという事情もあった。しかし、2009年の農地法の改正で状況が大きく変わってきていると感じています。原則、自由に農地の貸借ができるようになりましたので、農地を持っていない人も農業ができるようになりました。若い世代の人たちがもっと農業に興味を持ち、安心して従事することができる環境をしっかりと整えていきたいと思います。
都倉農園様
小林種苗さんには、種苗会社ならではの広いネットワークと知識を生かした提案を今後も期待しています
都倉農園 都倉 貴博氏
兵庫県加古川市で農業を営む都倉農園代表の都倉貴博氏に、農園の現状と今後の展望、そして小林種苗との関わりについて詳しくお聞きしました。
都倉貴博氏について
「愛と笑顔を食卓へ」の想いを胸に都倉農園を経営。小松菜、水菜を中心に露地栽培しています。地元加古川の「加古川農業青年クラブ」で会長を務めるなど、若い農家のリーダー的存在として注目されています。
都倉農園について
都倉農園について教えてください。
都倉農園は小松菜と水菜を中心とした葉物野菜をハウスで露地栽培しています。収穫から出荷まで人の手で丁寧に行い、新鮮で安全な野菜を生産・販売しています。もともと祖父がやっていた農園を、5年前にわたしが引き継ぎました。
農園を引き継いだ理由をお聞かせください。
わたしは生まれも育ちも神戸の都市部で、大学卒業後はアパレルメーカーに就職。農業経験は一切ありませんでした。しかし、「おじいちゃんも90歳になってもう農園が続けていけないから」と親に懇願され、やむなく後を継ぐことを決意しました。
農業の知識を学ぶため半年間の研修を受けてはみたものの、すぐには農業にたいする興味がわくことはありませんでした。気持ちが後ろ向きだったためでしょうか、楽しさを感じることができなかったんです。
農業が下火なら盛り上げればいい
後ろ向きな気持ちが変化するできごとがあったのですか?
地元の若い農家が集まって活動している「加古川農業青年クラブ」と出会ったことです。現会員の方だけではなく、元会員の先輩方とも知り合うことができました。このクラブでは地元の農業を盛り上げるため、野菜の収穫体験、牧場見学や即売会などのイベントを催しています。みんなで活動していくなかで、農業の楽しさや面白味を実感できるようになっていきました。
しだいに「どうしたらもっと農業を盛り上げることができるのか」。そういう観点から農業を見始めるようになりました。
農家の人はもっと自分たちの製品をPRしなければいけないと感じるとともに、既存の商売形態だけでは次の世代に農業を繋げるのは難しいのではないかと。クラブ内ではみんなで大きな夢を語り合うこともあります。農業は下火だと言われることが多いのですが、下火であればあるほど、盛り上げていくのはきっと面白いに違いない!――そう考えるようになりました。
大成功!「小松菜バカがおる」
都倉農園の現在までの推移を教えてください。
わたしが祖父から農園を引き継いだとき、農園のハウスは6棟でした。それに新しく7棟を建てて現在は13棟のハウスでおもに小松菜と水菜を生産しています。当初は小松菜、水菜だけではなくほうれん草やネギ、山東菜などの軟弱野菜と言われるものを季節ごとにローテーションして作っていました。しかし、そのやり方にわたし自身「ほんとうにこれでいいのか」という疑問を抱き始めました。
その疑問とはどのようなものですか?
ひとつは「都倉」という名前が忘れられてきていると感じたからです。農家の名前というのは、ある程度の製品を定期的に出荷していくことで売れていくものです。わたしは祖父から受け継ぎましたから、親の世代を飛び越しているわけです。祖父を知る人はいても、親の世代とわたしの同世代の人たちから、都倉という名前が忘れられてきているという危機感がありました。
もうひとつは、季節ごとに製品を変えてしまうと農園の特色が出しにくいということ。製品が多種にわたるぶん、一つひとつの生産量は少なくなってしまいますから。それではほかの農家との差別化を図ることができません。
どういう対策を講じたのでしょうか?
まずは生産する作物を小松菜ひとつだけに絞りました。小松菜の専作です。もう、すべてのハウスに小松菜ばかりをざあっと植えまして(笑)。これは経営的な攻めでもありました。まず、小松菜の販売単価は高くありませんので専作する農家があまりいないということ。そして、小松菜だけをどんどん出荷していくことで「小松菜といえば都倉」と言われるようにしてみようと。とにかく挑戦してみました。
単価が安い製品ですので、経営の面で大変なこともありました。しかし、それを一年も続けると市場のほうでも「小松菜バカがおる」とだいぶ知られるようになりました。その点では大成功です。しかし、すぐに生産のペースに販売先がついてこなかったこともありましたので、水菜も栽培することにしました。
専作することのリスク
現状、問題と感じていることはありますか?
生産ということについて言えば、夏場の暑さ対策です。夏のハウスの中は50度あまりにも上ります。小松菜は比較的暑さには強いのですが、水菜はそうではありません。対策として、日光を20~30%カットする遮光ネットをハウスの屋根にとりつけています。小林種苗の末澤さんに相談し、手配してもらいました。
あわせて末澤さんには、害虫を駆除する薬剤や、害虫を引き寄せ捕獲するための粘着シートのことについても要望を出しています。同じ地元ということで、迅速に対応してくれるので助かっています。
(末澤)ハウスが高温になると生育障害を起こし作物の生育に悪影響を与えますので、寒冷紗や遮光ネットというものが必要になります。
害虫駆除については、薬剤に混ぜて使用する展着剤をお勧めしました。水をはじく野菜だと薬剤を撒布してもすぐに流れ落ちてしまうんですね。展着剤を混ぜることによって、薬剤がとろみのあるのりのような状態になり、長時間野菜に付着する。それを食べた虫を駆除するだけではなく、薬剤が野菜に吸収することを防ぐ効果もあります。さまざまな要望をお聞きしてハウス資材の提案と販売をさせてもらっています。
さらに、小松菜と水菜の専作には大きくふたつのリスクがあります。ひとつは、いつも同じ作物が栽培されていますので、害虫が居ついてしまう可能性が高いということ。悪い条件が揃うと害虫が発生しやすくなる。もうひとつは連作障害。連作障害とは、同じ土壌で同じ科目のものを作り続けることで作物の病気など多くの障害が出てくることです。たとえばアブラナ科の小松菜、水菜だけではなく、ほうれん草(アカザ科)やネギ(ネギ科)をローテーションして植えるほうがいいんです、土壌にとっては。
それでは他の作物も生産しようと考えているのですか?
考えないわけではありませんが、今すぐにというわけにはいきませんね。前述したとおり、当農園の販売先にとって、一年中同じ野菜が無いと困りますから。ほんとうはいろんな科目の作物を栽培して土壌の質を高め、製品の品質もどんどん高めていくのが理想的ではあるのですが、今の農園の規模では販売先の要望に対応できなくなってしまうおそれがあります。
最近はサラダなどに使われるルッコラを少しではありますが生産しています。末澤さんにもいろいろな作物のサンプルをいただきながら試験的に栽培していますが、結果が出るまでには時間がかかるものですから。ほうれん草も考えてはみたのですが夏場に弱いですからね。
(末澤)夏場に強い作物はなにか、どのような品種があるかなど、そういった情報こそ種苗会社である当社の得意とするところです。要望をお聞きして何度でも提案させていただきます。
製品の品質こそが信用につながる
将来の展望についてお聞かせください。
じっくりと時間をかけながら、ハウスの棟数を現在の2倍まで増やして多品種生産をしていきたい。そのことを考える時期に来ていると感じています。実現するためにはわたしひとりでは難しい。人材を育てることが必要ですし、既存の販売先のニーズを引きだして栽培していく作物の検討も必要です。品種が増えるということになれば、新規の販売先も開拓していかなければ供給過多になってしまいます。
課題を解決するために大事なこととは?
まずはお客様との信頼関係をしっかりと作っていき、信用いただくということです。わたしたち農家の場合はそれがはっきりしていて、製品の品質こそがすべてです。製品の出来が良くないときは出荷しない。そう、はっきりと言うことも大切です。わたし自身、そのこだわりが無くなったらだめだと考えています。
さらに行動範囲を広げ、情報を集めながら次の次まで見据えていくことが大事です。そしておそれずにどんどん新しいことに挑戦していく。小林種苗さんには、種苗会社ならではの広いネットワークと知識を生かした提案を今後も期待しています。