●特長
特有の風味とすぐれた食味をもつ茶毛の早生黒豆で、6月上旬までまけます。草丈は45~50cmとやや低く、3粒莢がたくさんつきます。
●栽培環境・土づくり
タネまきの2週間前に1㎡当たり苦土石灰100g、1週間前に完熟堆肥2kgとリン酸、カリ分を多く含む有機配合肥料50gくらいを施します。マルチ栽培などで追肥ができない場合は、元肥に速効性肥料を全量施すと、開花前に肥効が上がって樹ボケ状態になりやすいので、緩効性肥料を使います。うね幅45cm、株間20~25cmを標準とします。
●タネまき・植えつけ
地温は15℃以上を確保します。直まきの場合は1か所に3~4粒点まきし、本葉が開くころに1~2本立ちにします。移植の場合は、双葉が展開し、初生葉が伸び始めてから展開が終わるまでに植えつけます。老化苗にすると活着が悪くなり、その後の生長に影響するので、若苗での植えつけをおすすめします。
●管理のポイント
開花期の極端な乾燥は落花が多くなり、着莢数が少なくなるので、この時期の水やりは重要です。開花前後の10日間は、夜間の最低気温を20℃以上確保しないと、不稔莢や未発育莢が多くなります。
●病害虫・生理障害
連作、過湿、過繁茂などにより、べと病、斑点細菌病、モザイク病などが多くなるので、連作を避け、水はけをよくし、窒素過多による過繁茂を防ぎます。アブラムシ、カメムシ、メイガ、コガネムシ、ハダニなどに注意します。
●収穫・保存・利用
収穫の適期は開花後30~40日です。莢が大きくなって豆の部分がふくらんできたら、莢の緑が退色する前のやわらかいうちに株ごと収穫します。収穫したその日が最もおいしいです。塩をたっぷりふって混ぜながらよくもみ、熱湯に入れて5~6分ゆでます。ザルにあげて熱いうちに塩をまぶすと、水切れがよく、おいしくなります。長く保存する場合は、ゆでて冷凍します。
■プロの方向け情報
香り、食味抜群の黒種の早生品種
●特性
1.白花の早生多収品種です。早生品種ですが、6月上旬までまくことができます。(関東標準80日タイプ)
2.葉は濃緑で中くらいの大きさです。草丈は45~50㎝です。
3.草姿は開張型で、よく分枝し、低節位から着莢する房なり型で、3粒莢が多いです。
4.子実の色は黒色で、莢の毛茸の色は淡褐色です。
5.黒豆特有の芳香風味に富み、食味は抜群です。
6.温度の低い時期の播種では、保温して地温を上げ、発芽を促進させ均一な苗を得るようにします。
7.ハウス・トンネル栽培では、乾燥に注意し、高温にならないように換気をして、順調に生育させるようにします。
●適応性
ハウスでの促成栽培から、露地普通栽培まで適応性は広いです。
●圃場の準備および施肥
土質は選ばないほうですが、酸性土壌と連作はさけるようにします。pHは6~7の間になるように酸度を補正します。元肥は、前作の残効、土壌の肥沃度にもよりますが10a当たり、成分量で窒素8~10㎏、リン酸12~15㎏、カリ8~10㎏が標準です。
●播種・育苗
地温が十分に上がらないハウス栽培やトンネル栽培では、温床での育苗・移植栽培をします。地温は15℃以上確保します。育苗土には無菌の通気性、排水性のよい土を使います。播種直後に十分に灌水を行い、一斉に発芽させるようにします。発芽が遅れると、過湿で種子が腐り発芽率が低下するので注意します。定植の適期は初生葉が完全に展開し、本葉が見え始めたころです。定植の際には根を傷めないように注意し、深植えにならないようにします。直播栽培の場合は遅霜の心配がなくなってから播種を行います。1穴3粒まきとし、本葉1~2枚のころに間引きを行います。播種後は寒冷紗などを被覆し、鳥害を防ぎます。
●管理
ハウス、トンネル栽培では換気、乾燥に注意します。日中は20~25℃、夜間は15℃以上を目安として管理します。日中の高温(30℃以上)は過繁茂の原因となり、着莢が低下します。生育初期には灌水をやや控えめとし、開花期以降は乾燥させないように注意します。開花期から着莢期にかけて1~2回追肥を施すと、子実の太り、莢色がよくなります。
●病害虫防除
虫害として、アブラムシ、カメムシ、ハダニ類などがあります。それぞれ早めの防除を心がけるようにします。病害についてはモザイク病、べと病、斑点細菌病などがあり、これらについても同様に早期防除を心がけます。
●収穫
収穫適期が短いのでとり遅れに注意します。また、収穫には労力がかかるので適期を逃さず収穫できるように作付けを行うことが必要です。品温が上がると品質の低下につながるので、午前中に収穫を行い、涼しい場所で調整を行います。欠粒莢、病害虫莢を取り除き、各産地の基準に合わせて出荷します。