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サカタのタネ ブロッコリー グリーンキャノン 新発売
サカタのタネ初となるブロッコリーの根こぶ病耐病性※1品種がついに登場
ブロッコリーのF1新品種『グリーンキャノン』の種子を発売
草姿がコンパクトで作業性に優れ、花蕾の形状がよく高品質な青果を収穫できる
サカタのタネは、根こぶ病に耐病性をもつブロッコリーの中生F1新品種『グリーンキャノン』の種子を2012年6月下旬に発売します。近年の地球温暖化に伴い、ブロッコリーの栽培ではさまざまな病害が発生しています。なかでも根こぶ病の被害は深刻で、生産者は同病害の防除を余儀なくされているだけでなく、収量の低下に加え継続的な栽培をも脅かされています。『グリーンキャノン』は、10数年の歳月をかけて開発した根こぶ病耐病性品種です。同品種は、土壌酸度の調整や排水対策といった耕種的防除や薬剤処理を併用することで、根こぶ病の発生を効果的に抑制できます。これまでの根こぶ病耐病性品種は花蕾の品質に課題がありましたが、同品種は凸凹のないきれいなドーム形になります。さらに、草姿がコンパクトで、茎がやわらかく、花蕾周辺の葉が少ないため作業性にも優れます。
現在、ブロッコリーをはじめとするアブラナ科作物の栽培においてはさまざまな病害が多発しています。特に根こぶ病は、それによってブロッコリーの産地が一時壊滅してしまうようなことが過去にあり、その被害は深刻です。根こぶ病は、その名のとおり根にこぶを生じる土壌病害です。根こぶ病菌は、以前は菌類と考えられていましたが、現在はネコブカビという原生生物の一種に分類されています。根こぶ病菌は、多くのアブラナ科植物に感染し、根こぶ病を引き起こします。同病害は、春から初秋に、水はけのわるい、あるいは酸性の土壌で発生しやすくなります。根こぶ病に侵されると、根から水分や栄養分を吸収できなくなり、その結果生育に異常をきたし、ひどくなると収穫にいたらないこともあります。これを防ぐためには、アブラナ科作物の連作を避けること、排水対策を行うこと、石灰質肥料などを使用して土壌酸度を調整すること、農薬を使用することなどが必要とされています。こうした根こぶ病の防除方法は徐々に浸透してきていますが、近年の地球温暖化にともなう異常気象の影響もあり、十分な効果が得られないケースが散見されています。
これまでにも根こぶ病の耐病性品種はいくつか発表されています。これらの品種は、花蕾の形状が不安定であったり、粒の大きさにばらつきがあるなど、品質面に課題がありました。そのためブロッコリーの根こぶ病耐病性品種は、ほとんど市場に流通していないのが現状です。
そこでサカタのタネは「根こぶ病に耐病性をもちながら高品質な花蕾が収穫できる品種の育成」を目標に掲げ、10数年前に育種を開始しました。病原菌の接種方法や評価方法は大変困難を極め、一般的なブロッコリー品種を育成するときよりも、はるかに多い数の親系統を組み合わせて作りあげました。通常の耐病性品種の育成と同じように、ブリーダーのみならず植物病理担当との2人3脚で開発に取り組んできました。このように長年の研究の末に誕生したのが『グリーンキャノン』です。『グリーンキャノン』は、播種後115日(定植後85日)前後で収穫する中生品種です。
作型は、温暖地や暖地での夏まき、秋冬収穫に適しています。なお同品種は耐病性品種のため、完全に病害の発生を抑えることはできません。土壌酸度の調整や排水対策といった耕種的防除や薬剤散布と併用することで、根こぶ病の発生をより効果的に抑制することができます。
『グリーンキャノン』は根こぶ病に耐病性をもつだけではなく、もう一つの大きな育種目標であった、品質面にも大変優れます。同品種の花蕾は小粒で濃い緑色をしていて、凸凹のないきれいなドーム形をしているので、高品質な青果を収穫できます。また、側枝の発生が少なく、草姿は立性でコンパクトなので、追肥や収穫作業の際に通路に入りやすく作業性に優れます。そのうえ、茎がやわらかいため収穫作業が楽にでき、さらに花蕾周辺の葉の枚数が少なく葉を除く手間を省けることから、出荷調整がしやすい品種です。同品種を試作した徳島県や愛知県の生産者からは「従来品種よりも根こぶ病に強い」「花蕾のしまりや形がよい」「草姿がコンパクトで作業がしやすい」など高い評価をいただいており、すぐにでも本格導入したいとの声があがっているそうです。
『グリーンキャノン』の品種名は、きれいな緑(グリーン)の花蕾と、根こぶ病耐病性をもつ期待の大型品種であることから、大砲の意味をもつ「キャノン」を組み合わせて命名したものだそうです。
■ブロッコリーのF1新品種『グリーンキャノン』の概要
◆特 長
1.根こぶ病に対して耐病性をもつ。
2.播種後115日(定植後85日)前後で収穫できる中生品種。
3.花蕾は小粒で濃緑色、凸凹が少なくきれいなドーム形でしまりがよい。
4.草勢は中程度。側枝の発生が少なく、草姿は立性でコンパクト。
5.茎がやわらかく、花蕾の周りの葉が少ないため、出荷調整しやすい。
◆栽培の適応性
夏まき秋冬どりの専用品種。低温での生育緩慢と高温期の死花(ブラウンビーズ)発生があるので、春まき栽培には適さない。温暖地では8月上旬まき・11月~12月どり、暖地では8月中旬まき・12月~年明け1月どりに適する。極端な早まきは、花蕾のゆるみや死花の発生を誘発し、一方極端な遅まきは、低温による栽培期間の延長や花蕾におけるアントシアンの発生を助長するので注意が必要。
◆栽培のポイント
1.畑づくりと施肥設計
総施肥量(元肥と追肥)は、10aあたり成分で窒素20kg、リン酸25kg、カリ20kg程度を標準とする。収穫期が厳寒期になる遅まき栽培では、肥効の低下による生育の遅延や花蕾のアントシアン発生を防ぐため、良質堆肥の施用・追肥を適宜施し、肥効を持続させることが大切。根こぶ病汚染圃場では、石灰質肥料の施用によるpHの調整、排水溝の設置、定植前の薬剤散布など総合的な防除を行う。
2.播種と育苗
通風、日当たりのよい場所を選び、播種後十分に灌水し、発芽まで乾燥させないように管理する。発芽適温は20~25℃なので、遮光などをして極端な高温にならないよう心がける。
3.定植および定植後の管理
栽植密度は、10aあたり約4,000本を標準とするが、栽培時期によって株の大きさが異なるので多少の増減を行う。セル成型育苗では、活着促進のため老化苗にならないように注意し、適期に定植する。特に根こぶ病汚染圃場へ定植する場合、活着不良やその後の初期生育の遅れは根こぶ病の被害を拡大させるので、定植後の灌水、活着後の中耕などを状況に応じて適切に行い、初期生育を促す。
また、厳冬期の12月~1月収穫では、生育がやや緩慢になるので、出蕾前後に追肥を施し肥切れしないようにする。
4.病害虫防除
この品種は根こぶ病耐病性品種のため、完全に病害の発生を抑えることはできない。そのため、圃場準備および定植時の薬剤処理や、排水対策など総合な防除を行う。その他の病害虫対策についても、通常のブロッコリー栽培に準ずる。雨が多い年は、黒腐病※3や花蕾腐敗病(軟腐病)※4など細菌病の発生を予防する目的で薬剤散布を行う。
5.収穫
高温下での収穫は死花(ブラウンビーズ)が発生しやすいので、適期収穫を心がけるとともに、できるだけ高温条件にならないよう涼しい時間帯で収穫、出荷調整するようにする。
※1 耐病性:
サカタのタネでは、発病条件(温度、湿度、病原体の密度など)の影響を受けにくい安定したものを「抵抗性」と呼び、影響を受けるがその程度が軽く、収穫するうえではほとんど問題にならない性質を「耐病性」と呼んでいる。「抵抗性」としているものでも、条件やレ-ス分化などにより発病する恐れがある。
※2 ペレットシード:(pelleted seed):
コーティング種子ともいう。細かな種子や形が不ぞろいな種子を、粘土など自然に溶ける被覆資材で包んだもの。粒子を大きく均一にしてあるので、播種機でまきやすくなる。
※3 黒腐病 :
多くのアブラナ科植物に発生する細菌性の病害。葉の縁にV字型の病斑が形成される。病斑は次第に拡大し、やがて葉は枯れ落ちる。葉が枯れることにより生育へ悪影響を及ぼすだけでなく、花蕾に感染して腐敗を引き起こす場合もある。発病してからの防除は困難なので、発病前の殺菌剤散布による予防が有効。被害茎葉は圃場外へ処分する、周辺の除草を徹底するなど、圃場衛生管理を行うことも大切。
※4 花蕾腐敗病(軟腐病) :
雨が多く気温が高いときに発生が多い細菌性の病害。花蕾や茎が水浸状に腐敗してしまう。病原細菌は土壌中や作物の根圏に生存、降雨によって植物体上に跳ね上がり、感染する。
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サカタのタネ あまうまやわらかかき菜 さちうら 新発売
サカタのタネは、草花・野菜・ハーブ類の統一絵袋ブランド「実咲Ⓡ」シリーズの2012年秋の新商品として、洋種ナバナのF1品種※1『あまうまやわらかかき菜 さちうら』を、2012年6月から発売します。『あまうまやわらかかき菜 さちうら』は春先にとう立ち※2した茎と葉、つぼみを食べる野菜です。しっかりした茎の味と甘みがあり、多収です。また、葉にフリルが入るため見栄えするのが特長です。洋種ナバナでは珍しいF1品種で、温暖地では9月上旬から下旬のタネまきで3月上旬から4月に収穫する中早生タイプです。成長した部分を順次収穫していくので、毎日の食卓に合った量を長期間、収穫することができます。珍しさがあり、季節感にもあふれるため直売所に好適です。また栽培管理も容易なため、家庭菜園にも向いています。
「カキナ」はアブラナ科のとう立ちした部分を食べる野菜です。アブラナ科の野菜は冬の低温で花芽ができて、春になり日が長くなってくると花を咲かせるために茎が立ち上がってきます。春を告げる早春の味覚として、昔から親しまれてきました。蕾や葉のついた茎を折るように、かき取ることから「カキナ」と呼ばれています。
新品種『あまうまやわらかかき菜 さちうら』の最大の特長は、食味に優れることです。アブラナ科のとう立ちした茎や蕾は、品種によっては若干の苦みを持つことがありますが、同品種はそれがほとんど感じられません。やわらかい茎のコクと甘みがあります。クセがなく味噌汁の具、炒め物、サラダ、パスタなど、和洋中を問わずにいろいろな料理に使えるため、便利です。葉のフリルと濃い緑色もまた、食卓に華やかさを添えてくれます。
再生力が旺盛なため、一度、収穫が始まると、次々にとう立ちしてきます。上手に管理すれば、一か月半以上の長期にわたり収穫できます。そのため、少量多品目の品ぞろえが必要な直売所には好適です。関東地方など温暖地では、特に露地野菜の端境期にあたる3月に収穫のピークを迎えます。同時期に直売所の品ぞろえを充実させることができるとともに、季節感や味のよさで他店との差別化にもつながります。また、家庭菜園では、2~3株を育てておくだけで、3~4日ごとに適量を収穫することができます。味もよく用途も広いため、青菜の少ない早春の一時期には重宝されます。病害虫が少なくなる厳冬期に向かって栽培するため、管理も容易です。高齢化が進む農家では、ほかの野菜と比べ作業の負担軽減も期待できます。
本品種は洋種ナバナ(Brassica nupus)の一品種です。洋種ナバナは自家不和合性※3がなく、自身の雌しべと雄しべで受精することができるため、ほかの個体と交雑しにくいという特徴があります。そのため、雑種であるF1を育成することが難しい野菜の1つでしたが、サカタのタネでは約10年の研究を経て洋種ナバナのF1の育成に成功しました。成長のそろいがよく、安定的に収穫ができます。
品種開発は味と収量がよいF1の洋種ナバナの育成を目指して行われました。数年前に育種は完了していましたが、同様にカキナとして利用される関東の伝統野菜「のらぼう菜」などの人気が通信販売などで出ていたことを受け、販売に至りました。また、家庭菜園や直売所ブームなど消費者ニーズの多様化などを背景に、新しいジャンルを開拓するためにオリジナル商品として投入しました。いわゆるナバナは、アブラナ科アブラナ属の作物のなかで、特に抽台前後の若葉や花茎、蕾の部分を利用する野菜の俗称です。在来菜種類と西洋菜種類に大別されますが、本種は後者に属します。
洋種ナバナは、コマツナ、カブ、ミズナ、ハクサイ、ハナナなど、ほかのアブラナ科の野菜に比べると、まだ知名度が低い野菜ですが、味はとてもよいため、商品情報をしっかりと提供しながら、早春の野菜として広めていきたいと考えています。
■洋種ナバナの新品種『あまうまやわらか かき菜 さちうら』の概要
◆特 長
1.甘みとしっかりした味があり、いろいろな料理にあわせられる。
2.葉に特徴的なフリルが入り、直売所など売り場で目を引く。
3.洋種ナバナでは珍しいF1品種のためそろいがよく、また再生力が旺盛で多収。
4.栽培が容易で、家庭菜園や野菜作りの初心者でも十分育てられる。
◆露地栽培のポイント
1.畑作り
1㎡あたり苦土石灰100g、完熟堆肥2kgと有機配合肥料80gを施す。
2.タネまき
うね幅1mに40cm間隔で2条にスジまきをする。本葉4~5枚で間引きしながら、株間40cmにする。発芽適温は20℃前後、生育適温は15~20℃で、苗を育ててからの移植もできる。長期間収穫する場合は、株間をさらに広くとる。
3.栽培管理
秋に十分に株を大きくすることが大切で、風などで倒れないように、本葉が10~15枚のころに軽く株元に土寄せをする。
4.収穫
寒さが和らぎはじめ、とうが立ってきたら芯を止める。その後、わき芽が次々と伸びてくるので、葉1~2枚を残して収穫する。長さ20cm前後をめどに摘み取る。1回収穫するごとに、株元に1つまみの肥料を施す。
【コンテナ栽培】
プランターや鉢を使ったコンテナ栽培もできるが、底の浅いプランターは避ける。大きく育てて収量を確保するためには、尺鉢(直径30cm、16L程度)で1株が適当。30~50Lの大型のプランターならば2株。栽培のポイントは畑で育てる場合とほぼ同じ。
■栽培上の注意点
1.タネまき後1~2か月は、モンシロチョウやコナガ、ヨトウムシなどの害虫がまだいるため、防虫ネットや農薬を使用するなどして早めの防除に努める。しかしそれ以降は寒くなり、害虫はほとんど発生しないため、防虫ネットなどははずす。
2.花が咲くと茎などがかたくなる上に、株が弱るため、つぼみの段階で早めに収穫する。春先に鳥がついばむこともあるため、害が出たらネットをかけるなど対策する。
3.アブラナ科の植物に大きな被害をもたらす土壌障害の根こぶ病※4に対しての耐病性はないため、病害が確認される畑の場合は対策が必要。水田の裏作など、水はけの悪い土地で栽培する場合は、高うね※5にするとよい。
※1 F1品種:
一代交配種ともいい、種間、品種間などの異なる遺伝子をもつ両親の間にできた雑種第一代のこと。一般に両親の優れた形質を受け継ぎ、生育が旺盛で、そろいがよいことが特長。
※2 とう立ち:
花芽をつける茎が伸長する現象。温度や日長が影響する。
※3 自家不和合性:
不和合性とは、雌しべ、雄しべが共に健全でありながら受精しないことであり、自家受粉で受精しないことを自家不和合、他家受粉で受精しないものを交配不和合といい、受精する場合をそれぞれ自家和合または交配和合という。これは遺伝する性質の一つであって、キャベツ・ハクサイ・ダイコンなどの一代雑種はこの性質を利用して作られる。
※4 根こぶ病:
根こぶ病菌(Plasmodiophora brassicae)による土壌伝染性病害。本菌に侵されると根部にコブを形成するため、生育が悪くなり収量が低下する。
※5 高うね:
地面よりとくに高いうねのこと。15cm以上の高さのものを高うねということもある。水はけの悪い畑では高うねにして湿害を防ぐ。
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