生育旺盛、濃緑で市場性の高い夏用小ネギ
特性
1.耐暑性が強く、高温期の生育は旺盛で、周年栽培も可能ですが、とくに初夏〜秋どりに向く小ネギ専用種です。
2.草姿は立性で葉折れがなく、濃緑で色つやが非常によいです。
3.葉鞘基部のふくらみはなく、収穫調整が容易です。
4.病害に強く、葉先の枯れは少なく市場性が高いです。
栽培の要点
小ネギ栽培は、いわゆる根深ネギの育苗に相当し、小ネギとして出荷しますので、土壌管理が特に大切です。
圃場準備
pH6.0以下になると、葉先の枯れや生育不良の原因になるので、pH6.5前後に矯正し、完熟堆肥を十分に施し(10a当たり4,000kg程度)地力の増進に努めます。
肥料
ネギは肥料焼けしやすいですので極端な多肥はさけます。元肥は10a当たり苦土石灰100kg、窒素15〜20kg、リン酸25kg、カリ15kgを標準とします。火山灰土壌ではリン酸を2割程度増やし、根張りをよくし丈夫に育てます。窒素の多施用は生育が軟弱となり、倒伏や病気の発生が多くなりますので控えめにします。
播種
播種量は10a当たり3〜5リットルですが、特に、夏の栽培は薄まきにして徒長を防ぎます。1回の播種面積は収穫調整労力に合わせて決まり、労力が2人の場合は、収穫可能面積は1日当たり15m2程度ですから、10日間隔で播種すると、1回の播種面積は1.5aとなります。
播種床はあらかじめ十分に湿らせておき、ベッド幅120cmに4条のスジまきとし、5mm程度の覆土を行いかるく鎮圧します。播種機を使用すると、この作業が一度にでき省力化できます。播種後、十分灌水し、高温乾燥時にはもみ殻や寒冷紗などをかけて乾燥を防ぎ、低音時には保温を目的にビニール、ポリマルチなどで被覆し一斉に発芽させることがとくに重要です。
管理
発芽後、被覆材をとり除き、乾燥に十分注意しながら初期生育の促進に努めます。生育途中に中耕除草および追肥(10a当たり窒素とカリ3kg程度、または灌水も兼ねて液肥を施します)を行います。生育が停止すると品質が低下するので、肥料切れに注意します。「剣舞」は、葉色濃く、しまりよく、軟弱徒長しにくい品種ですので、収穫時まで一貫して水を切らさないように管理するのがポイントです。
病害虫
スリップス、ハモグリバエ、べと病、さび病などがあり、いずれも直接商品価値を落とすので予防に努めます。
収穫
通常、小ネギ栽培は、収穫予定の15日前ごろから水切りを行い、葉色を濃く仕上げますが、「剣舞」ではとくに水切りの作業を必要としません。
収穫までの日数は、3〜9月まきで60〜70日、10〜2月まきで100〜130日です。