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■ 小林種苗 顧客事例 - エコファーム・みずほ協同農園
エコファーム・みずほ協同農園、代表取締役の高崎時男氏に、エコファームの現状や課題、小林種苗との取組みについてお聞きしました。
(エコファーム・みずほ農園について)
神戸市街から車で50分。澄んだ空気と、みずみずしい緑に囲まれた兵庫県三木市細川町瑞穂にある「環境共生型農園」エコファーム。食品リサイクル・資源循環型の農業を実施するために1998年に設立され、安全・安心な野菜の生産や、農業の体験学習や農業・食に関する学びを提供する場として高い社会的評価を得ています。
もくじ
食品リサイクル、資源循環型の農業
エコファームが目指すもの
エコファームの課題
小林種苗との取組みについて ―ハウスのカルテ―
次代の農家をしっかりと支えていく
食品リサイクル、資源循環型の農業
― エコファーム・みずほ協同農園のことをお聞かせください。
農園の広さは約20ヘクタールで、農園内には露地栽培農場、ビニールハウス、リサイクル堆肥を生産する土づくりセンター、交流・勉強会を行うエコファームセンター、体験農園などがあります。現在、わたしを含め社員、パート等の合計19名で農園を運営しています。また、兵庫新規就農研修「新規就農離陸加速モデル推進事業」より、一年間の研修として研修生2名を受け入れています。
エコファーム・みずほ協同農園は、コープこうべの「環境共生型農園構想」に賛同した地元農家によって1998年1月に設立されました。
環境共生型農園の仕組みは、コープこうべの店舗や食品工場から毎日出る有機資源(野菜・肉の加工くず)を回収して、農園内にあるコープこうべのリサイクル施設「土づくりセンター」に運びます。土づくりセンターで、有機資源をもとに堆肥を生産、その堆肥を使用して健やかな土壌を育て、農園で野菜を生産します。そして、生産した野菜をコープこうべの店舗に供給する――そういう食品リサイクル、資源循環型の農業を行っています。
「環境共生型農園」エコファームの食品リサイクル、資源循環のしくみ
― エコファーム設立の背景を教えてください。
高崎時男氏
「安全な食を支えるしくみが必要」
エコファーム設立の背景には、大きく二つの理由があります。ひとつは廃棄物の発生量削減と有効利用をすすめることです。当時、コープこうべの事業所・店舗から出る食品関係の廃棄物は増加傾向にあり、焼却処理によるCO2排出などの環境負荷や、ゴミ処理にかかる経費の増大が問題となっていました。それらの対策が急務だったこと。
もうひとつは安全な食を支えるしくみが必要になったことです。国内の食糧自給率の低下、農業就業人口の低下と高齢化、それにともなう耕地面積の減少など、日本の食を支える地盤の沈下はとても激しい。安全な食を支えるために新しいしくみが必要だったことです。
エコファームが目指すもの
― エコファームはなにを目指しているのでしょうか?
第一に、安心できる「野菜」を生産することです。農園内の農地には、露地栽培農場、ハウス栽培農場があり、大根、ブロッコリー、キャベツ、青ネギ、トマト、ホウレンソウなどの野菜を生産しています。化学肥料を使わず、農薬の使用回数も地域の1/2以下におさえるなど、安全・安心な野菜をつくりコープこうべに提供しています。
つぎに、未来にわたりずっと続けられる農業を実践し、それを広げることです。そのためには次代を担う農業人の育成が欠かせません。そして若い農家に活躍してもらう場所を提供することが必要です。エコファームでは平成14年から兵庫県立農業大学校の卒業生などの新規採用を行っています。また、同学校からの研修生の受け入れや、新規就農希望者に実践的な農作業のノウハウを教える「エコファーム研修生」の制度を設けています。また農園視察なども積極的に受け入れ、環境保全への取り組みや、食品リサイクルの実践について農業関係者や行政に広める活動をしています。
最後に、持続できる農業のあり方を、消費者と一緒に考え、一緒につくっていくこと。消費者に1区画10坪の農地を年間契約でお貸しして農作業を体験してもらう「体験農園」、季節の野菜の植え付けと収穫を体験できる「マイファーム」など、消費者に農業を体験してもらい、土と触れ合いながら学ぶ場の提供。勉強会や講義、体験学習を通して、日本の農業の問題や、農業の「食の安全・安心」とのつながりについて学んでもらう場を提供しています。
「体験農園」「マイファーム」など、消費者が土と触れ合いながら学べる場を提供している
エコファームの課題
― 現在の課題はなんでしょうか?
ひとつは経営の安定化です。その年の環境による影響もありますが、野菜の生産量と売上はまだ安定しているとは言えません。資源循環のしくみ維持のコストも上がっています。事業所・店舗から出る食品残さの減少にともない堆肥の生産量が下がっているからです。わたしが就任した2007年からはなんとか単年度で黒字となっていますが、経営を安定させるにはもう少し時間がかかります。きれいごとばかり言っていてもだめで、きちんと利益を出して、経営が安定してはじめて理想の追求が行えるのです。
もうひとつは人手の問題。人出不足のため、農園内の農地のすべてを有効活用できていません。とくに露地栽培農場の一部では、使用していなかったり、ローテーションで休ませている農地があります。なんとか有効活用するための施策を講じているところです。
小林種苗との取組みについて ―ハウスのカルテ―
― 小林種苗との取組みについてお聞かせください。
小林種苗さんとの取組みは2009年からです。お願いしているのは、現在農園にある32棟のビニールハウスのメンテナンスです。ビニールハウスは数年ごとに、ビニールを貼り替えないといけないのですが、今がちょうど貼り替えのタイミングです。ふつうの農家だと自分たちでビニールの貼り替えを行いますが、当農園ではやはり専門家に貼ってもらうほうがしっかりしていいいだろうと外部にお願いしています。
小林種苗さんは熱心に仕事をしてくれますのでひじょうに助かっています。農園のハウスの建設・修繕した履歴や打ち合わせのやり取りが知りたいとお願いしたら、すべてのハウスの管理表を作ってくれて。これがまるで「ハウスのカルテ」みたいにしっかりとしたもので、とても丁寧に仕事をしてくれる会社だと驚きました。
現在32棟のうち、20棟あまりのハウスでビニールを貼り替えています。1社に集中するのはあまり良くないとも思い、相見積をとりながら検討していますが、いちばん仕事がきっちりしているのが小林種苗さんですからすべて任せています。
ひと目で状況が把握できるカルテ。すべてのハウスを管理している。
次代の農家をしっかりと支えていく
― 小林種苗に期待することはなんでしょうか?
要望としては、エコファームに合う作物の品種を提案してほしいということです。たとえば、気候風土や土壌をしっかりと見てもらい、土壌に適した品種とか、土壌特有の病気に強い品種などどんどん提案してほしい。
また、種苗会社としてのネットワークを生かして、農家の悩みを解決する役目を担ってほしいと考えています。農家には特有の悩みがいっぱいあります。農法でも悩んでいるし、流通のことでも困っている。苗や種、資材の販売をするだけではなく、研修の情報を提供したり、一緒にほかの農家を視察するなど、小林種苗さんなら農家のアドバイザーとしてかゆいところに手が届くサポートができるのではないかと期待しています。
「種苗会社のネットワークを生かし、農家のアドバイザーとしての役目を期待しています」
― 今後の展望についてお聞かせください。
エコファームを通じて、もっと食育、農業体験学習や環境・食糧に関する学習の場を提供していきたいと思っています。農業に関わる人が安心して集まる場所として、ここを利用してくれれば嬉しい。
そして、農業を志す人を支え、後継者として次代を担う若い農家をしっかりと育成していきたいと考えています。ここで学んだ後は、ここの農地、施設を利用して農業をしてもいい。とにかく新しいことにチャレンジしてもらいたい。現在は1名が、この農園で経営をしています。そういう若い人をしっかりと支えていきたい。そして、これらの活動を通じて、国内、地元の農業振興にしっかりと貢献していきたいと考えています。
高崎様、本日はお忙しい中、
貴重なお話をありがとうございました。
※ エコファームの
ホームページ
※ 取材日時 2011年10月
※ 取材制作:
カスタマワイズ